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概要

日赤看護大学案内2018

51学長からのメッセージ 今から127 年前の1890(明治23)年、日本赤十字社病院で看護師の養成が始まりました。本学のルーツはここにありますが、以来歴史を重ね、養成所、専門学校、短期大学、四年制大学・大学院へと発展し、昨年、大学設置30 周年を迎えたところです。歴史を振り返る中で感じたことは、一世紀を超える歴史を持つ本学に一貫して受け継がれてきた理念は、赤十字の人道に通じる「一人ひとりを大切にする」ということです。 看護職は、自分がケアする人、一人ひとりを大切にしなければなりません。「大切にする」とは、どのようなことでしょう? たとえば、患者さんの病状などによって、「大切にすべき」ことは変わってきます。また専門的見地からだけではなく、患者さん本人はどうしたいのか、その考えや意向を聞き、可能な範囲を相談しながら確認していくことも求められます。「一人ひとりを大切にする」ことは、多様な知識に裏付けられる知的判断や専門的スキルがあって初めて可能になります。本学は学ぶ学生たちがこうした専門性の高い看護職へと成長するよう支援します。 「一人ひとりを大切にする」という理念は、本学の教育の特長でもあります。看護職を志す学生の皆さん自身が、自分が大切にされる経験がなければ、看護職として実践の現場で人を大切にすることはできません。本学では、ゼミ等の少人数教育やクラス担任制度を設けるなどして、学生の個性を活かしながらきめ細かで丁寧な指導を心がけています。 看護学の学習で重要なのが実習です。都内の赤十字病院や福祉施設の力強い協力を得て実習を進められることも本学の強みです。皆さんの先輩たちが指導に当たってくれる機会も増えてきました。 日本は急激な少子高齢化の中で、お年寄りも病気や障がいを持った人も、すべての人が住み慣れた地域で暮らせる「地域包括ケア」に向かっています。病院だけでなく地域の施設や患者さんのご自宅(在宅)へ出向いて看護を提供する、看護提供のあり方も多様さが求められています。こうした社会の要請に応え、本学では患者さんの生活そのもの(生活モデル)をきちんと考え、判断や調整ができる力を持った看護師を育成します。 災害看護は、赤十字看護大学の使命として重点を置いている分野です。本学では学部教育で災害看護学に力を入れるのはもちろん、大学院では国公4 大学と本学との共同による5 年一貫制博士課程として、「共同災害看護学専攻」を設置しています。近年多発している国内外の災害への支援にも力を入れています。 災害看護と並んで本学の大きな特長となるのが国際交流です。赤十字は世界にネットワークを持つ国際組織ですので、スイスやスウェーデンの大学との交換学生制度を実施、海外での実習や演習も行っています。2015(平成27)年には国際交流センターも設置し、学生や教員が国際交流に参加できるための支援を充実させています。 本学では、皆さんの大先輩に当たる養成所時代の同窓生から、ご寄付が寄せられています。学生の皆さんの国際交流や学修支援に活かせるよう、奨学金として活用させていただいています。 最後に学長としてまた一人の先輩として、本学を志す皆さんに伝えたいのは、大学に入り国家試験に合格することが皆さんのゴールではないということです。「私はこういう看護師になりたい」「看護を通じて社会にこのように貢献したい」など、看護師になったその先の夢を持ち、その夢に向かって大学で学び成長してほしいと願っています。日本赤十字看護大学 学長高田早苗