ブックタイトル日赤看護大学案内2018

概要

日赤看護大学案内2018

42 研究紹介歴史研究から看護の「今」を考える歴史を学ぶことで現在を相対化してみる基礎看護学という領域は、文字通り看護の基礎となる科学や倫理・哲学、歴史など看護技術の習得や専門分野の学修のための土台となるものです。歴史的にみると、看護における理論や概念、あるいは用語の意味や用法は時代や社会環境によって変化してきていることがわかります。また赤十字の活動の歴史は看護の歴史と言っても過言ではありません。歴史を学ぶことで自然と赤十字の精神に触れることができるとともに、視野を広げることにもつながります。「看護の歴史」は学部3 年次後期の選択科目になります。実習科目が増えて毎日が忙しくなる時期ですが、立ち止まって歴史を学び現在を相対化してみることができるというのは、将来の方向性を考える上でも非常に大切です。戦時救護看護婦の貴重な証言をまとめるここ7年ほどは、赤十字の救護看護婦として第二次世界大戦中に戦時救護に赴かれた方々へのインタビューを行い、2015 年に彼女たちの語りをまとめさせていただきました（日本赤十字看護大学看護歴史研究室ブックレット創刊号「戦後70 年 日本赤十字社救護看護婦の語りから平和を考える」）。日中戦争が始まった1912 年から終戦までの8 年間で赤十字から960 班、のべ約3 万人の看護婦が戦時救護の任に就き、1,120 名の方々が殉職したという事実とともに歴史の証人から語られることは決して美談だけではありません。　専任教員の外部研究費の獲得（研究助成金獲得状況）● 文部科学省は各大学における改革が一層推進されるよう「国立私立大学を通じた大学教育改革の支援」を実施し、特色ある優れたプログラムを選定し支援しています。本学では災害看護グローバルリーダー養成プログラム（文部科学省「博士課程教育リーディングプログラム」平成24 年度採択）が採択され、新たな試みが進行しています。● 文部科学省や厚生労働省は、国内の大学の教員・研究者が個人またはグループで行う研究に対して、競争的資金の形態により補助金を支給。本学では下記の研究が採択されました。最新の研究成果は授業でも活用され、教育の幅を広げています。文部科学省「科学研究費助成事業」平成28年度主な採択状況メッセージ基礎看護学の学びを通じて見聞を広め、看護について自問自答する土台を築き、やがて個性・能力を発揮して看護学の幅を広げてくれるような若者が出てきてくれることを期待しています。史実を正確かつ詳細に伝えるためのサポート2015 年は戦後70 年ということで、赤十字の救護看護婦に焦点をあてた「レッドクロス～女たちの赤紙～」というTBSテレビ60周年記念企画ドラマの監修をさせていただきました。史実に基づいて赤十字の人道精神や救護看護婦の生き様、あるいは赤十字の理念・理想が戦争の現場では必ずしも貫き通せない現実など丁寧に描いていただき、少しですが研究を通じた社会貢献ができたと思います。川原由佳里 准教授（基礎看護学）［担当科目］看護の歴史、看護方法学IV（看護過程）、卒業研究、基礎看護学特論I・II・III・IV（大学院）、看護科学特論II、基礎看護学特別研究I・II・II（I 大学院）、基礎看護学実習I・I（I 大学院）研究種目研究課題名年度基盤研究Ｂ実践を変革する母乳育児支援専門家教育プログラムと配信システムの開発25 ～ 28看護職・介護職による災害時要援護者二次トリアージの開発26 ～ 28疾患や障害をもつ人のセルフケア能力を高める看護支援プログラムの普及と評価26 ～ 29地域終末期ケアを支える医療と介護の連携促進プログラムの開発と有効性の検討26 ～ 28慢性疾患をもつ人々への多職種で実践する日本型アドバンスケアプランニングモデルの構築28 ～ 31基盤研究Ｃ看護系大学におけるコアカリキュラムに応じた小児看護学教育の実習コアモデルの開発25 ～ 28多様な背景をもつ看護職員に対する教育支援体制構築のためのモデル作成26 ～ 28認知症高齢者ケアにおいて倫理的苦悩を抱えた看護師への教育的支援モデルの開発26 ～ 29看護学実習において学生のコミュニケーション能力を育成するための指導モデルの開発27 ～ 29病院看護職の個人および職場の特性と妊娠･出産に関する階層モデル27 ～ 29小児高度実践看護師の子どもと家族の包括的アセスメント育成プログラム開発27 ～ 30特別な教育的支援を必要とする新人看護師の様相と教育指導方法の開発28 ～ 30高度実践看護師の倫理調整能力強化のための継続教育カリキュラムの開発28 ～ 31看護外来における早期慢性閉塞性肺疾患患者の療養支援プロトコルの開発28 ～ 30新生児とその親の関係構築を支援する新生児行動観察法を用いた早期介入の効果検証28 ～ 30直接哺乳が困難な子どもとその親への看護介入プログラムの実用化に向けた開発25 ～ 28挑戦的萌芽研究原発災害による生活の拠点の移動が及ぼす子どもを持つ母親の健康支援のモデル案の構築27 ～ 29海外駐在員のメンタルヘルスのセルフケア能力を高める教育プログラムの開発27 ～ 29ウェアラブル端末を用いた心不全遠隔支援プログラムの開発28 ～ 30看取りを支える訪問看護の質指標の作成とITシステム構築に関する研究28 ～ 29研究活動スタート支援植込み型心臓機器の受容尺度日本語版の開発26 ～ 28児童精神科看護師による発達障害の学童へのケア修得プロセス27 ～ 28インドネシア共和国都支部における学童のための肥満予防プログラムの開発と評価28 ～ 29厚生科研看護実践能力の育成に資する効果的な教育方法に関する研究28